第一章 令嬢秘書の正体

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美妃の泣き声が聞こえてきて、慌てて浴室から出る。 「はいはい、ちょっと待ってねー」 適当に拭いて髪は濡れたまま、下着姿で傍に膝をつく。 「おむつかなー」 どうもそうみたいで、手早くおむつを替える。 もう五人目となれば手慣れたものだ。 「ミルクもそろそろだよねー」 雑に髪を拭き、ようやく服を着る。 健太がポットにお湯を入れておいてくれてよかった。 本当によくできた弟だ。 手早くミルクを作り、美妃に飲ませる。 「さやねぇちゃん」 「ん? どうしたの?」 ちょいちょいと服を引っ張られ、見たら望が立っていた。 「おなか、すいた」 「あー、そうだよねー」 言った途端に私のお腹が鳴る。 朝食を食べないままもうお昼になろうとしていれば、そうなるだろう。 「ちょっと待ってねー。 美妃にミルクあげたらなんか作るから」 「うん!」 元気いっぱい頷き、望は持ってきた車のおもちゃで遊びはじめた。
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