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   * ・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・* *・゜゚・*:.。..。.:*・''・* あの日、 あなたに、 あいたくて、 あいたくて、 あいたくて。 ひとり彷徨い続け 廃人になった。 そして、 あの不思議な街へと辿り着き 彼に出逢い、 救われた。 でも、彼は…… 誰なの? 20ページの謎めいた せつないラブストーリー。  * ・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・* *・゜゚・*:.。..。.:*・''・* 降り続いた長雨が嘘のように よく晴れた午後だった。 土曜ということもあり、歩道は行き交う人の群れに覆われている。 紫外線対策に身を包む女性も目立つ中、 太陽とはまるで無縁のように、麻広(まひろ)は街を浮遊していた。 追い越していく波に何の興味もないが、波の方もまた、ふらふら彷徨う彼女を振り返る様子などない。 ──なぜこんなことになってしまったんだろう。 人生とは残酷だ。 報われないどころか、時として望まない方向へ容赦なく引きずり込む。 意思、目的、欲望。 そんなものはどこか遠い所へ葬り去ってきたような脱力感。からっぽな心。 あまりにも軽い体に、ぼんやり足元へ目を落としてみた。 腰まで伸びた髪がふわっと舞い上がる中 まずは、お気に入りのニューバランスを履いていることが確認できた。 デニムのロングスカートに部屋着のTシャツ、肩からは外出時、よく身に付ける黒いバックをさげていた。 中を覗くと鍵、財布、携帯電話が入っている。 コンビニでも行くつもりだったのだろうか。 おかしな話だが、何のために、どうやってここまで辿り着いたのか、一向に思い出せずにいたのだ。 ──突然、ドスッと右肩目掛けて衝撃が走った。   *・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・* *・゜゚・*:.。..。.:*・''・*
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