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その少女の名は、アメリア・ペリクレス。8年前に現在のペリクレス辺境伯であるトニ・ペリクレスの養女となり、ダルトンの兄弟の末の妹になった少女だった。類まれな魔法の才能があったため、16歳になったとき王宮魔法使いとして仕官を求められ、その年の「セデス海戦」に従軍し、行方知れずになった。
アメリアは魔力だけにとどまらず、知能も規格外であった。その知能をペリクレス家と領地のために惜しみなく発揮し、ペリクレス領は今やアナトリア半島随一の豊かな地域になっている。
アメリアの功績は、例えば下水道や治療院の設置で住民の健康状態を良好にしたり、さまざまな生業に組合を作らせルールを設けたことで秩序ある商売が進み裁判が減ったり、農機具の改良や作付け方法見直して農作物収量が増加したりなど枚挙すればきりがない。
そんなアメリアは、10歳のとき、サジューム一行に連れられてペリクレス城にやってきた。
当時、サジュームは前王の子の中でたった一人生き残ったアーク王子を守るため近衛騎士だったガイウスと森の奥で身を隠して生きていた。そのとき、彼らに拾われ家族同様に育てられたのがアメリアだった。
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