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7 メリア・ヨーコ
その女性は、白い木綿の羽織を着ており、裾からは質の良い布地を使ったドレスを覗かせていた。
背丈の高い植物の隙間に身を潜めてその様子を見ていたサジュームだったが、
「誰ですか?」
とあっさり見つかってしまった。
どうしようかと逡巡していたサジュームだったが、意思の強そうな瞳で真っすぐにこちらを見ているその人こそが導師に違いないと確信し、心を決めて石畳の上に立った。
「よくここに入れましたね…。私も年なのでしょうか。この1年で2人の侵入者を許すとは…」
背筋を伸ばし、その女性は独り言のように呟いた。白髪が多く混じった髪を後ろで一つに纏め、薄化粧の顔が涼やかだった。
サジュームは心の中で(当たりだ)と思った。
「あなたは誰なんです?」
白髪の女性はもう一度、強い口調で訊いてきた。
サジュームは老人の変装を解いて、本来の姿を晒して言った。
「初めてお目にかかります。私は、サジューム・ペリクレスと申す者。どうしてもご尊顔を拝したく、失礼を承知でここまで入ってきました」
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