7 メリア・ヨーコ

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「…それは、なんですか?」とサジューム。 「これは、亡霊ですよ。かつての私」 「かつて?」 「魂が巡るという考えはご存じ?人の魂は死んでも滅びず、時を超え、様々な人物になって生まれてくるのです」 「…」  サジュームの理解が及ばず言葉が出ずにいると、 「私は、前の人生の記憶があるのです。それが薬の記憶だったというだけのこと」 「ならば、あなたは神の御使いである精霊の言葉を聴いているのではないですか?」 「いいえ。すべて私の前世の記憶」 「では、その身に別の人物の魂を宿しているということではないと?」 「そう。私の魂は一つ。メリアであり、ヨーコでもあります。メリアはこの世の親からもらった名。ヨーコは前世の名です」  その話を聞いてサジュームは衝撃を受けた。それまで、アメリアの体にはアメリアと精霊であるミウが同居しているものと思っていたからだ。 「私も彼女も、かつて、この世界には存在しない国で暮らしておりました。その国で私たちは、こことは比較にならないほど進んだ文明を享受しておりました。私が知る知識など、そのほんの一部でしかありませんが、それを生きるために披露しているにすぎません」  導師は遠い目をして言った。 「この世界には存在しない国?」  サジュームが訊き返すと、導師は確かな動きをもって頷いた。  サジュームは、黙ったまま導師を見つめた。 「彼女のことが少しでも分かったでしょうか」  導師は優しいまなざしでサジュームを見た。
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