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「彼女は、マイヤルナの次にどこに行くのか言っていましたか?」
「…いいえ。存じません。彼女は慌ただしく帰ることになりましたから」
導師はとても残念そうな顔をしている。
「アメリア・ペリクレスという希代の天才少女の名は、こちらにも届いておりました。会えて嬉しかったのです。お茶でもご馳走しようかと、つい結界を解いてしまって、騒ぎになってしまいました…あなたはあの子のご親戚なのかしら?」
「はい。…私の姪になります」とサジューム。
「そう…。あなたが彼女に近づけますように…」
導師は優しい表情のまま、体の前で両手を強くにぎっている。
「彼女を探し当てたら、あなたのお心遣いを伝えておきましょう」
サジュームは踵を返すと、音もなく薬草の影に消えていった。
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