8 報告

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8 報告

 1カ月以上王宮を空けていたサジュームは、執務室で副隊長のカレイから不在中の報告を聞いていた。聞きながら指示を出し、指示を出しながら机の上の書類に目を通す、ということをしていると、執務室の扉からノックの音がした。  カレイが素早く扉に近づき、取り次ぎをしてくれている。 「ガイウス将軍の使者です。こちらの本を、と渡されましたが…」  カレイはその手に本を持って机に運んでくれた。  サジュームはそれをパラパラとめくると、 「少し出てくる」 と言って部屋を出た。  アークとガイウスとサジュームの3人で王宮内で個人的な話をしたいとき、人目を忍んで集まる場所があった。書庫の隣の小さな部屋で、王位に就いたアークが臣下の目を気にせずにガイウスとサジュームの3人で語り合える部屋だった。  集まるときは、大抵ガイウスが知らせにくる。『本』が合図である。
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