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アメリアが行方不明になって2年、公務の合間にいろんな情報の元に確認にいくものの空振りに終わることばかりでサジュームも疲労を自覚していた。
父親からの思いがけない労りに、サジュームは言葉が出なかった。
「ヘンドリック様が討たれてからしばらくの間、お前から連絡がいつあるのかと待ち続けていたときのことを思い出す」
ブルーノがかすれた声で語り始めた。
ヘンドリックは、アークの父親で第12代アナトリア国王である。
「慎重なお前のことだから、そうそう迂闊にこちらには近づかないと分かっていたものの待つのはなかなか辛いものがあった…」
サジュームが初めて聞くブルーノの心情だった。
サジュームは、横目でそっと父親を見るとブルーノの穏やかな目と合った。
サジュームは思わず視線をそらした。自分が父親からこのような優しい目を向けられるのは、慣れていなくて気恥ずかしい。
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