22人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくして警察が来た。近所の人は何事だろうかと家の窓から覗いている。
俺達はというと、事情聴取を行っていた。父はすぐさま警察に連れていかれ、もうここにはいない。
残った警察官は李実が倒れている現場を捜査している。もうすでに死亡は確認されているので殺人事件となる。
母は寂しい顔で李実を見つめながら言った。
「離婚しましょう。もう、あんな父のことなんか知らないわ。本当に役立たず」
「うん、俺もあんな父とはもう関わりたくないよ」
俺は自らの本音で言った。
それから引っ越しすることが決まった。ちょうど祖母から母に久しぶりと電話がかかってきた。
母はその電話で祖母にすがりつくように泣いていた。そのおかげで引っ越し先はすぐに決まった。
祖母の家だ。それがあるのは俺が小六の頃、住んでいた町だ。
最初のコメントを投稿しよう!