何回目の転校生

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「あっ!すまん。自己紹介、してなかったな。僕の名前は谷澤里喜(たにざわりき)。学級委員をやってる。よろしくな、李野」 彼は元気よく里喜と名乗った。学級委員なら俺に話しかけてきた理由もわからないことはない。 「おう!よろしくな」 俺はまた、気軽に返して一瞬何を話せばよいのかわからなくなる。相変わらず、初対面というのは何年やっても慣れない。 「お前ってどこから来たんだっけ?」 里喜はきょとんとした顔で聞いてくる。 「岡山。父さんとの離婚が原因でさ」 俺はそう言いながら李実のことをふと思い出す。そういえば、家に帰ってももういないんだった。 そう思う度、鳥肌がたって寒気もする。きっと寂しいんだろう。亡くなってまだ三日しか立ってないから仕方ないよな。 跡形として残されてるのは和室にだけ。仏壇の上に李実が大好きだったりんごと、この前俺が引っ越しの際に見つけた遺書を置いてある。帰ったら線香あげないとな。 「そういやさ、朝隣の雪美ちゃんに話しかけてたよな?もしかして知り合い?」 里喜は何かを覗き見してくるような顔で聞いてくる。 「いや、同い年の妹が知っててさ。ほら、千手李実って知らない?小五の頃にいたんだけど」 もし同じクラスであれば知っているはず。
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