プロローグ

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「ティッシュは…」 そう言って俺はまだ住み慣れていない自分の部屋を見渡す。 俺達はここに引っ越してきてからまだ三ヶ月も経ってない転校生だ。父の転勤が多いせいでここ何年かは半年ごとに引っ越しをしていた。 だからそのたびに住む家も小さいものが多い。そのため、俺と李実は毎日一緒の部屋で寝ている。幸い、ベッドが両端に二つあるので同じベッドで寝たことはあまりない。っていうかそんなこと考えるのって俺は変態なのか? そう思いながら勉強机の上にティッシュはあったのでそれを取り、李実の近くに置いた。 李実はそのティッシュを取り、涙を拭う。いくら拭っても涙が止まらないから落ち着くには時間がかかるだろう。 こんなに泣かれたら俺の兄としてのプライドも崩れそうで、もらい泣きしてしまいそうだ。
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