零話 犠牲

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零話 犠牲

辞めれば良かった。 なんて後悔するのはいつもの事。 今回は後悔と言うより懺悔に近い。 私以外の人間が目の前で死ぬ所を見てしまった。 いや、他人事では無い。 殺してしまったんだ。 肝試しなんて誰かが言わなければ私達は帰路についていて、シャワーを浴びて、好きなテレビを観たり、誰かと今日の合コンの話をLaiNして談笑し合って居たかもしれない。 今、目の前で血だらけで肉塊になり転がっているのは、さっき知り合ったばかりの大学男子学生。 私達を守って犠牲になった愚かな人。 名前しか知らない。こんなにいい人だったなんて知らなかった。 もう引き返す道はない。試練の幽洞を進むしかないのだ。 こんな事になってしまった数時間前、私達は選択を間違ってしまった。
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