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弐話 隠し戸
来た道を辿々しく戻る涼花、康太、宏文。
入り口の扉を開けようとするが錆び付いていて開けれない。
人が一人分入れる隙間から入館した際に宏文が最後に入り、行儀よく閉めてしまったのだ。
二人がかりでも開くことは無かった。窓から出ようとしたが1階の窓は鉄格子が外側からされていて出れないようになっている。
3人は途方に暮れ、その場で暫く時間が過ぎた。
女子大生の絵を見ながら康太は何かに気付いた。
「この絵、さっきの広間に似てないか?」
涼花と宏文も確認すると確かに構造は似ている。というか同じだ。
あの女子大生はこの建物と何か関係があるのだろうか。
「不気味だって、ここヤバイよ。亮二達も居なそうだし」
「宏文君、責任取ってよ。肝試しに行こうなんて言わなきゃ...」
涼花は涙ぐむ。
「何言ってんの...?言い出しっぺは俺じゃないって。その前に肝試しがしたいって言ってたろが。だよな康太」
「あ?ああ...言い出したの確か涼花だよな?」
涼花は頭の中が真っ白になった。そんな事言った覚えは無い。だってその時、亮二と会計をしていた...。
「でも良いねって言って乗り出したの宏文だよな」
「ちょっと待って、私は肝試ししたいなんて一言も言ってないよ」
「はい?覚えてないの?ちょっと意味分からなすぎて怖いんですけど。人のせいにするのやめてもらっていいですか。そういえばお前、そうゆう所あるって亮二愚痴ってたぜ」
宏文は突然涼花にキレ始めた。
最低な男だ。
「...消えて、私の目の前から消えて。宏文君の顔なんて二度と見たくないから」
「二人ともちょっと落ち着こう。な?」
「そうだな。こんな嘘つきなイカれ地雷女と一緒なんてゴメンだし。俺、行くわ」
「おい、宏文。今のはねーだろ。謝れ」
宏文は涼花に暴言を吐きかけるとエントランスの階段を登って行った。
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