弐話 隠し戸

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不安な状況から誰かのせいにしてしまった事は反省してるけど、宏文君の暴言は許せない。 「本当に私、肝試ししようなんて言ってたの?」 「涼花さん、本当に言った記憶ない?」 「だって私、亮二と二人で会計してたし、戻ったらみんな盛り上がってて宏文君が肝試しするぞーなんて言ってたからてっきり宏文君が言い出しっぺなんだと思って」 「会計?会計してたのは亮二だけだったと思うんだけど」 二人の認識が合わない。どうしてだろう。 そして店を出る前に店主と話をした内容も伝えた。 「え、ヤバくない?」 「うん。こんな事になるなら店主の話を信じれば良かった」 「違くて」 「なにが?」 康太の顔は血の気を引いていた。 「そこの店主って先月亡くなってるんだよ。オレ結構通ってたから知ってるんだけど。本当に店主だった?まぁ店主しか男の従業員いないはずなんだけど」 記憶の無い話ばかりで涼花は混乱した。 一体、私はどうなってしまったの、と。
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