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壱話 消えた4人
私こと杉崎涼花と荒川亮二は今回の合コンの幹事をしていた。
それぞれLaiNのアドレス交換も終わり、涼花と亮二が会計を済ませみんなのところに戻ると、何かに盛り上がっている。
何やら誰かが肝試しをしたいなんて言い出したとか。スマホで検索した女子大生が近くに廃墟をみつけたらしくみんなで行ってみたいと言い出した。
「みんなで行けば怖くないっしょ!行こ行こー」
亮二の親友の宏文が乗り気出す。
「んー。どうする涼花」
女子大生のスマホを横から見ると車で10分くらいの場所だった。
「私達呑んでないから車出せるけど…」
幹事の涼花と亮二はノンアルしか飲んでおらず、いざとゆう時に送り迎え出来るようにしていた。
「よし、じゃあ決まり!オレ涼花ちゃんの車乗る〜!お前の隣の座は貰うぜ」
お調子者の宏文がみんなを外に誘導する。
「みなさんお気をつけて、よく肝試しする連中いるけどあんまりいい噂聞かないからねアソコ」
「え?あ、噂ってなんですか?」
店主だろうか、話を聞いていたらしく少しだけどんなところなのか説明を受ける。
「先月も居たんだよ。そこに肝試しに行った連中が。知り合いの息子なんだがほらそこに」
店主は指を指し貼り紙を見せた。
「その子、まだ行方不明なんだってよ。あんたらも気をつけてな。本当は止めるべきなんだろうけど…」
そこまで言うと店主はハッとした表情で俯き突然何かに怯え出す。
「か、帰ってくれ!もうウチには来ないでくれ!」
奥の方に向かって塩だ!塩もってこい!と叫び出す。
急に態度を変えた店主が怖くなりそそくさと店を出る。
店の前に男2人と女1人が待っていた。
「あれ、他の人達は?」
「アイツら先に4人で行ってるってー。涼花ちゃん、オレたちも早く行こー。やべぇ、ちょっと飲み過ぎたかも」
「ああ、うん。宏文君、車の中で吐かないでね」
運転宜しくと爽やか系の伊藤康太も後部座席に乗った。
一人だけ残った女子大生は口数が少なく、ずっと涼花を見る視線が気になっていた。
女子大生側を誘ったのは涼花だ。
でも、名前を思い出せない。
「ねぇ、大丈夫?無理して来なくても大丈夫だからね」
「…」
彼女は無言で私の車の後部座席に乗った。
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