3人が本棚に入れています
本棚に追加
「ずっと俺の事見てるしさ。涼花にずっとSOS送ってたんだけど気づかなかった?」
涼花はなんだそんなことか。と緊張した肩を撫で下ろす。
宏文が必要以上に涼花の近くにいた理由がやっと分かった。
彼女は誰なのか。いつもキャンパスの日陰のベンチに居たから声をかけたら参加してくれた人。のはず。実は涼花もよく覚えていない。
「俺らの通ってる大学生じゃ無いんじゃないかな。少なくとも彼女を俺は知らない」
「いや、オレも知らん」
「いつもキャンパスの日陰ベンチに座ってる子だよ。よく絵を描いてるところ、見た事ない?それしか知らないけど」
宏文と康太は目を合わせ首を横に振っている。
「誰も知らんのかーい!」
「...そういえば、彼女の座ってたところにコレ」
康太はライトで照らしながら一枚の絵を見せた。
廃校の教室が描かれている。床は捲れ上がり、机、椅子、壁の劣化の激しい一枚の絵。
「んーなんだか分からない絵だけど、とにかく彼女みつけないと、まさか建物の中に入ってないよね」
門は僅かに開いていた。玄関も人が一人通れるくらいに空いている。
「亮二達ももう中入ってるんじゃない?ほれ」
宏文が懐中電灯で照らした先に赤いSUV車が止まってる。エンジンは切られ人は乗ってない様子だ。
「いや、ライト無しで行かないだろ普通」
「一つ持ってたかも?」
すかさず康太に宏文は言葉を返す。
「そういえば亮二、前にも肝試ししてた。使った懐中電灯車に置いてたのかも」
涼花は宏文の考えを肯定した。
「じゃあまず彼女を探しながら他の4人も見つけますか」
「他の人達は3人でしょ?」
「涼花ちゃん何言ってんの。亮二達は4人組だろ?」
「え、違うよ。だって今日の合コン七人だったじゃん」
「...」
最初のコメントを投稿しよう!