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英里もその傍らでアレンジメントを取り出す。
「わあ、今回のは素敵ね!」
プロテアやアンスリウムが目立つ南国ムード満載のアレンジメントだ、英里はしげしげと眺めた。
「前回のもとてもじょうずにできたんですよ、僕が教える必要ないのかなって思うくらい」
「そうだったわ、写真は綺麗だったものね」
中島が悪さをしたとは言えず、未菜代も隆之輔も曖昧に答えた。
お土産を出せば鞄は不要だ、部屋に置いてくると告げてリビングを出て行った。ドアが閉まるとすぐに英里が声をかける。
「北村さん」
はいと顔を上げれば、英里は先ほどまでの明るい笑みは消して隆之輔を見つめる。
「未菜ちゃんの、火傷の話は聞いている?」
静かな声に隆之輔はすぐに「はい」と答えた。
「そっか、よかった。そういうことも受け入れて恋人になってくれたなら安心だわ。小学校、中学校じゃやっぱりイジメに遭っていたという話も聞いていたから」
服部家に引き取られ学区こそ変わってしまったが、周辺を巻き込み5軒も家を全半焼させた家事は大きく報じられた、市内ならば知らぬ者はいないだろう。未菜代もその被害者であることは周知のことだったが、それでも背中の怪我を否定的にいう者はあった。それは学校側でも気を付けてくれており、すぐに報告してくれていたのだ。
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