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#1 新米教師
横浜の私立高校に英語科の教師として赴任して2か月、ようやくその仕事にも慣れてきたと実感できてきたころだった。
仕事を終えて昇降口から正門へ向かう、校舎から出るとテラスがありその先に大階段が正門まで続く。その階段を降りていると脇のグラウンドでテニス部が部活動を行っていた。
(岩崎先生だ、今日もかっこいいー)
テニス部の顧問で同じ英語科の教師だ。長身で緩やかな癖毛が特徴的な男だが、きれいすぎるかんばせで中性的にも見え男女ともにファンは多い。テニスの腕はプロ級というが、今も生徒よりも動きがよいように見え、未菜代は笑顔になっていた。
(ありがとうございます、その姿を見るだけで活力になります)
心の中で手を合わせていた、姿を見るだけで満足なのは岩崎が既婚者だからだ。
赴任してきて同じ科目の教師陣を紹介された時、岩崎を見て間違いなく心がときめいたが、別の教諭から子どもまでいると教えられ驚いた、しかも第一子は9歳だと聞いて2度驚く。
岩崎は星林栄和学院の卒業生なのもあり、年長の教師陣からは未菜代が聞き出さなくても様々なことを教えてもらえた。岩崎の妻も星林の卒業生で大層な美人、大学時代に二人の子を設け既に3人の子がいるという。その大学時代に生まれた子たちはもう星林の初等部に入っているのでいずれ会うこともあるだろうとのことだ。
(しかもご自宅も徒歩で数分だっていう高級住宅街の山手に住んでるって、確実に人生勝ち組だな)
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