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頭痛は相変わらずだったけれど、先ほどの憂鬱な気分はすっかり晴れていた。
だんだんと眠気が強くなっていき、良い気分でまどろむ。
先輩と話していると、色んな感情が浮かんで忙しい。
でも、きっとそれは、俺が先輩に夢中なんだってことなんだろう。
……もっと、先輩のことが知りたいな。
緋彩先輩の趣味って何だろう?
食べ物の好き嫌いはあるのかな?
好きな季節や色、お気に入りの場所は?
苦手なこととか、あるのかな?
俺と出会う前の先輩って、どんな感じだったんだろうか。
—『去年はあいつの騎士様だったクセに。』
ハッとして、目を見開く。
以前、会長が緋彩先輩に向けた言葉を思い出し、俺はすっかり眠気が飛んでしまった。
「……。」
ずっと気にしないフリをしていた。
でも、心の奥では知りたい気持ちがどんどん強くなっている。
先輩にとって、去年学園にいたであろうその人は、どんな人なんだろう。
もしかして、先輩はその人に、好意を抱いていた……とか?
過去に、付き合っていた人……かもしれない。
様々な憶測が頭の中で飛び交い、心がモヤモヤした。
いや、勝手に決めつけるのは、良くない。
それに、先輩には俺の過去を詮索しないでとお願いしたのに、先輩の過去は知りたいなんて今更、虫が良すぎる。
俺はぶんぶんと首を左右に振って、今はまだ、考えないことに決めた。
数時間が経って、再び緋彩先輩が部屋に入ってきてくれた。
どうやら食事の準備が終わったようで、俺と一緒に移動するために呼びに来たらしい。
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