光の中の君

1/10
前へ
/10ページ
次へ
「相葉、またおまえか。何度言ったらわかるんだ。茶髪は校則違反だぞ」  校門をくぐろうとしたところで、お決まりのうんざりしたような声がかかり、あたしは仕方なく足を止めた。  相手を確認するまでもなく、風紀委員長の武田だ。 「別にいーじゃん。誰かに迷惑かけてるわけじゃないんだしー」  口をとがらせて反論するあたしに、武田の眉間のシワが、より一層深くなる。 「毎日毎日注意する俺に、迷惑をかけているとは思わないのか」 「はいはい、わかりましたー。今度ちゃんと黒くしてきまーす」 「それも何度も聞いてるんだが? それから、スカート丈も。そのうちおまえ、学校に入れてもらえなくなるぞ」 「学校なんてキライだから、別に入れてもらえなくなってもいーですよーだ」  武田に向かってあかんべーすると、あたしは軽い足どりで校門をくぐった。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加