光の中の君

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 ふふっ、今日も武田とおしゃべりしちゃった!  あたしがいくら言っても言うことを聞かないからって、先生たちにはもうとっくに放っておかれてる。  だけど武田だけは、懲りもせず、飽きもせず、毎朝毎朝あたしのことをちゃんと見てくれる。  あたしだって、武田に迷惑かけてるってことくらい、わかってるよ?  でも、もしあたしが髪色を黒に戻して、スカート丈も校則通りにして学校に来たら?  そしたら、武田はあたしのことなんて見てくれなくなる。  その他大勢のうちのひとりになってしまう。  そんなの……イヤ。  いつだって校則通りにきちっと着込んだ制服姿に、銀縁メガネ。  それに、校門前の服装チェックのときだけじゃなく、授業中も、お弁当を食べているときでさえも、いつ見てもすっと伸びた背筋。  どこからどう見ても超がつくほど真面目な男子高校生の武田とあたしの人生が交わることなんて、この先どこまでいったってないと思う。  だけど、過去のたった一度の交わりを、あたしはどうしても忘れることができなかったんだ。
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