493人が本棚に入れています
本棚に追加
「佐々木さんは、どうしてここまで良くしてくれるんですか……? ちょっとお世話になっただけの他人に……」
里帆は、その答えを知っていた。その上で、彼の口から実際に聞きたくて、問うたのだ。
案の定彼は、望んでいた答えをくれた。
「貴女のことを、好きになってしまったからです。もちろん女性として、です」
暖かな風が吹いてきたような気がした。
里帆は、その風に呼び覚まされた。長らく眠っていた自我を。
さなぎから蝶へと進化していくように、新たな自分に、生まれ変わった気分だった。
最初のコメントを投稿しよう!