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佐々木は一瞬、驚いたようにビクッと身を震わせたが、すぐに抱きしめ返した。
そして、腕の中の想い人を安心させるべく、背中を優しく撫でる。
「もう安全ですよ。僕がいる限り、誰にも貴方を傷つけさせませんから」
里帆の目に、涙が滲む。
「私、これからもずっと、佐々木さんにこうしてもらいたいです。……いや、これ以上のことをしてほしい」
佐々木の喉が、ごくりと動く。
つかの間の沈黙の後に、彼はとうとう男を決めた。
佐々木は、愛しい女の唇を奪う。
薄目で里帆を窺うと、彼女は瞼を完全に下ろして、行為を受け入れていた。
口付けは、次第に深いものへと変わっていく。
今夜ここに、一組の恋人が誕生したのだった。
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