くじほうき

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

くじほうき

 物の化け物で物の怪だ。  箒である。その箒は病院に現れる。  その箒ははぐれ陰陽師として生きていた娘が作った。  その箒は出産を終えた母親のいる病室に現れる。  そして母親に産まれた子の吉兆を伝える。   「姉は吉弟は凶」  箒はそう言うとどこかへ行ってしまった。  母親は凶と言われた我が子をじっと見た。 「私が守るから」  姉は母親に宣言した。  姉はその言葉を守った。  弟が怪我しないように、事故に合わないように。  自分は吉なのだ。  二人は年を取った。ふと自分が弟の凶ではなかったかと思ったが、聞かないことにした。  そして二人仲良く寿命を終えた。 「吉」  箒が母親に言った。母親は何が起きたか分からず、近くの寺の坊様に相談した。  坊様はそれは悪い事だと母親に伝え、お祓いするように言った。  坊様が赤ん坊にお祓いをしていると。 「生臭坊主生臭坊主」  と赤ん坊が笑った。  坊様は腰を抜かしてしまった。  「吉だから良いんですよ気にしなくて」  生臭坊主の息子が入ってきて赤ん坊を抱き上げ微笑んだ。  赤ん坊は立派なお坊様になったのだった。  
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!