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くじほうき
物の化け物で物の怪だ。
箒である。その箒は病院に現れる。
その箒ははぐれ陰陽師として生きていた娘が作った。
その箒は出産を終えた母親のいる病室に現れる。
そして母親に産まれた子の吉兆を伝える。
「姉は吉弟は凶」
箒はそう言うとどこかへ行ってしまった。
母親は凶と言われた我が子をじっと見た。
「私が守るから」
姉は母親に宣言した。
姉はその言葉を守った。
弟が怪我しないように、事故に合わないように。
自分は吉なのだ。
二人は年を取った。ふと自分が弟の凶ではなかったかと思ったが、聞かないことにした。
そして二人仲良く寿命を終えた。
「吉」
箒が母親に言った。母親は何が起きたか分からず、近くの寺の坊様に相談した。
坊様はそれは悪い事だと母親に伝え、お祓いするように言った。
坊様が赤ん坊にお祓いをしていると。
「生臭坊主生臭坊主」
と赤ん坊が笑った。
坊様は腰を抜かしてしまった。
「吉だから良いんですよ気にしなくて」
生臭坊主の息子が入ってきて赤ん坊を抱き上げ微笑んだ。
赤ん坊は立派なお坊様になったのだった。
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