42人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言われてサジュームは、明らかに動揺した。
「そんなことは…」と否定しようとして、自分で言うのを止めてしまった。
「俺には、はなからミウが見えないせいか、リアとミウ一緒と言われて、しっくりきたよ。ミウが見えているお前も、実はそうなんじゃないか?」
ガイウスの言葉にサジュームは反論できなかった。ミウとの会話を楽しみにしていたのが、いつしか、アメリアと会うこと自体が楽しみになっていたことは否定できなかった。アメリアに会っただけで、ミウの優しさを感じることができた。
(王宮に来たリアは、神々しいまでに美しかった…)
サジュームは片時も離れないアメリアの面影を捕まえるように、空を見つめた。
サジュームは今まで自分の気持ちの深い部分を見ないようにしていた。アメリアは、自分の養い子である。守るべき存在に、そのような邪な気持ちを抱いているなど認めたくなかった。認めたくなかったが、客観的に見れば、自分が職務を口実にアメリアを探し回っているその様は、心から彼女に囚われていることを表している。
それでも、サジュームは自分の気持ちを認めたくなかった。なぜなら、アメリアは現アナトリア国王がまだ想いを寄せているかもしてない人なのだ。彼の意向を退けられる者は、今の国内にはいない。アメリアを見つけて連れ帰ったとき、アークが彼女を望んだらサジュームは何も口出しはできない。
最初のコメントを投稿しよう!