〔一限目〕古文って恋模様が多いですわよね

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「それじゃぁ、今日の範囲は終了。後二十分程は、次の授業の時の予習でもしていてください。何か質問がある者は、教卓まで来るように。ああ、そうそう。何も沈黙を守らなくてもいいですからね。」  その言葉を皮切りに、雑談や相談がコソコソと飛び交う空間での自習時間が始まる。折角ですし、先程の話を詳しく聞いてもいいかもしれません。 「もし─。すみません。タイトさんのお見合いの真偽ってどうなのです?」 「…えぇと。私も噂話程度に聞いただけで、真偽は分からないんです。」 「でも今の歳にお見合いや婚約者という話は珍しい話ではないですし…。」 「ですよね…。」 「……こう、考えていても仕方ありません。直接聞きましょう。」 「えぇ。それがきっと良いと思わ──えっ?直接と仰いました?」 「えぇ。」 「で、デリケートなお話ではないですか!?」 「タイトさんも噂話をされて憶測が飛びかわれるよりも、真っ直ぐ真偽を確認された方が、快いと思うのですが─。」 「え、えぇ。そ、そうですわね?」  授業間の休み時間だと、長い時間は確保できないですから、お昼休みにでも伺いましょう。タイトさんにご予約を入れなければ─!
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