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【二時限目】嫌われ薬があるなら作りたい
「思い詰めてるけど、アイツどうしたんだ?朝よりも酷いけど。」
「ウチらが変なこと言ったから…あーなった…としか言えない…。」
「そうだねぇ…。」
「ウィン〜、何言われたんだよ?」
「私の口からは、お、おこがましくて言えないですねぇ!」
別にわざとでもなんでもない。昔から顔にだけは出ない。それでも声色には出やすい。あー、なんだあの声。変に裏返るし、震えてるし。わかってたけど私って取り繕うの下手だなぁ。
「何言ったんだ?」
言うとしても私の耳に届かない場所で言って欲しい。アンニュイ…ほんとお願いだから…。
「「雇い主さんがウィンのこと好きなんじゃないかって。」」
「あぁ〜……。」
「……なるほどな?アイツがそうなる理由が分かった。お言葉だがな、ウィン。」
「何ぃ…。」
「お前が嫌かそうじゃないかは置いといて、その現実は受け入れろって。」
はぁ〜?何言ってんだこのバカブレイクは。アンニュイが言ったのはあくまでもイフの話であって、別に本当というか事実だとはまだ分からない。というかあのゴリゴリの箱入り娘のお嬢様が、私を好いているなんて事はありえない。百歩譲って友人的な意味合いだろう。あのお嬢様は自分の気持ちに疎いとこあるから、より悪質だったりする。冗談じゃない。
これから実験があるっていうのに身が入らない。安全がある程度保証されてるとはいえ、ぼーっとしてたらやってられない─。
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