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「それで、話って?」
「今日父様から、電話があったんです。」
「電話。珍しいですね?いつもは話しても夜なのに。何か急ぎの用事だったんですかね?」
「えぇ。まぁ。急ぎの用と言っても、唐突だった挙句強引でしたね。アナタにも関わる話なので。」
「え?解雇ですか。」
「アナタ自身ではなくワタクシ自身に直接関わること。」
少し食い気味にお嬢様が言った。やっぱり様子が少しおかしい。
「…ミス・ウィンウィンは、私がお見合い結婚をすると言ったら──どう思いますか?」
「え?」
またこのお嬢様は突拍子もないことを言う。でも今朝の恋がなんとかって話よりも、かなり深刻そうだった。
「私自身じゃなくて、お嬢様が見合い結婚した場合の話ですよね?」
「えぇ。」
そんなことを言われても、と言いたかったが、そんな調子で返せる雰囲気でもないことは私にも分かる。お嬢様が珍しく苦しそうな顔をしている。
「…お嬢様がそれでいいなら、私は大丈夫です。」
「それを理由に解雇されても?」
「環境の変化ならしょうがないです。私自身の不手際とか無礼とかミスとかそういうのじゃないなら、受け入れます。」
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