〔冷めないうちに〕いただきます

2/9
前へ
/97ページ
次へ
「え…本当に身に覚えがないんですか…。」  五メートルほど先の柱からミス・ウィンウィンが顔を出してきました。通りで声がはっきり聞こえる訳ですね。  というか、逃げるならもっとちゃんと逃げたほうがいいと思うのですが─。 「えぇ。全く。」 「私の気も知らないでっ!」 「落ち着いてください…ミス・ウィンウィンの先程からの言動、かなり支離滅裂に聞こえますよ?落ち着いて…その…説明してください…?」  今朝はここまで様子がおかしいなんてことはなかったはず。おそらくワタクシと別れてから何かがあったのでしょう。その大元の原因はおそらくワタクシ。 「…とりあえず、今日会ったことについてでもお話ししますか?」 「…無理です。」 「食事中何もしませんよ。」 「食事中!?」  ミス・ウィンウィンには申し訳ないですが─本当に騒がしいですね。一人でこの大音量を演出出来るのはなかなかいないのでは? 「アナタが望まぬことはしません。誓います。」 「誓約書書かないと嫌です!」 「仰々しい…。」  とは言え、ここは要求に頷かない限り永遠に続きますよね。簡易的な誓約書でも─。
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加