《予鈴のチャイム》恋とか愛とか人情だとか

3/6
前へ
/97ページ
次へ
「ミス・ウィンウィン、今日は何が放課後ご予定はありますの?」 「……いや、特に無いですけど。送迎ですか?」 「いえ。そういう訳では。」 「じゃぁ、何なんですか。」 「いいえ?なんでも〜。」  やたら上機嫌なウォンツ嬢にミス・ウィンウィンは少し寒気を感じた。  二人はその後何か会話をすることもなく、Y字路にやって来ると、ウォンツ嬢は左に、ミス・ウィンウィンは右に曲がる。別れ際にウォンツ嬢が手を上品に振り、ミス・ウィンウィンはそれに対して会釈を返す。 「……恋、か。」  再度欠伸をすると、ミス・ウィンウィンはヘッドホンを付けて、スマートフォンの画面に表示された再生ボタンを押す。数秒後に彼女は首を小さく前後に動かす。  そんな彼女の背後から顔を覗かせる青年がいた。似たようなデザインの制服を見に纏う彼は小走りになってミス・ウィンウィンに近付くと、肩をポンっと叩く。 「うひゃぁっ?!」 「ビビリすぎだろ。」 「ヘッドホンしてるやつにそれやるのは万死に値する。」 「ビビると饒舌になるのが面白いからやってんだって。あといい加減身構えてもいいと思うんだけど。」 「アイスブレイクがアイスブレイカーしないで欲しいんですけど。」 「分かるように話して?」 「緊張をほぐすための雑談とかゲームをアイスブレイクって言うの!名前がブレイクだからかけたの。」 「……清楚な見た目じゃないのにボキャブラリーが凄。」  ブレイクと呼ばれた青年はパチパチと手を叩く。その様子にミス・ウィンウィンはあからさまに嫌そうな顔を見せる。 「んで?いつもは凛としてるのに、今日は“おこ”な顔だったんだけど、なんかあった?」 「……いや。うーん…。聞くべき?いや、ブレイクはアイスブレイクからしてアイス…カチンコチンの硬派…。いやラブコメだと硬派な男が─。」 「ねぇ、マジで大丈夫そう?」
/97ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加