1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ミス・ウィンウィン、今日は何が放課後ご予定はありますの?」
「……いや、特に無いですけど。送迎ですか?」
「いえ。そういう訳では。」
「じゃぁ、何なんですか。」
「いいえ?なんでも〜。」
やたら上機嫌なウォンツ嬢にミス・ウィンウィンは少し寒気を感じた。
二人はその後何か会話をすることもなく、Y字路にやって来ると、ウォンツ嬢は左に、ミス・ウィンウィンは右に曲がる。別れ際にウォンツ嬢が手を上品に振り、ミス・ウィンウィンはそれに対して会釈を返す。
「……恋、か。」
再度欠伸をすると、ミス・ウィンウィンはヘッドホンを付けて、スマートフォンの画面に表示された再生ボタンを押す。数秒後に彼女は首を小さく前後に動かす。
そんな彼女の背後から顔を覗かせる青年がいた。似たようなデザインの制服を見に纏う彼は小走りになってミス・ウィンウィンに近付くと、肩をポンっと叩く。
「うひゃぁっ?!」
「ビビリすぎだろ。」
「ヘッドホンしてるやつにそれやるのは万死に値する。」
「ビビると饒舌になるのが面白いからやってんだって。あといい加減身構えてもいいと思うんだけど。」
「アイスブレイクがアイスブレイカーしないで欲しいんですけど。」
「分かるように話して?」
「緊張をほぐすための雑談とかゲームをアイスブレイクって言うの!名前がブレイクだからかけたの。」
「……清楚な見た目じゃないのにボキャブラリーが凄。」
ブレイクと呼ばれた青年はパチパチと手を叩く。その様子にミス・ウィンウィンはあからさまに嫌そうな顔を見せる。
「んで?いつもは凛としてるのに、今日は“おこ”な顔だったんだけど、なんかあった?」
「……いや。うーん…。聞くべき?いや、ブレイクはアイスブレイクからしてアイス…カチンコチンの硬派…。いやラブコメだと硬派な男が─。」
「ねぇ、マジで大丈夫そう?」
最初のコメントを投稿しよう!