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「でもジェットコースターとメリーゴーランドって言ったらテーマパークでしょ。アミューズメントパーク?」
ミス・ウィンウィンのご乱心ぶりに双子は苦笑する。
「というか…雇い主さんは恋について何か言及してたの〜?」
「残酷。」
ああ…と短く嘆声を二人はあげた。どうやら二人にはウォンツ嬢の言わんとしていることが多少なりとも分かるらしい。
「残酷って言ったって何がこう…残酷なのか分かんなくて。」
「まぁ、色々あるっしょ?失恋も心折れるし、三角関係もちょっと気分サガるし。」
「あとは…恋は盲目って言うから…そこも少し残酷だねぇ。」
「……恋って難し。」
「あともう一個思いつくんだけどさ。」
「私も〜。」
「コレって言っちゃっていいんかな?雇い主的にはアリかな?」
「どうだろう〜…。アンが雇い主だったらどう?」
「ん〜……まぁヤキモキしてたら、むしろビシって他人から言ってもらえる方がイイかも?ニュイは?」
「……自分で言うの恥ずかしいし、引かれるんじゃないかって邪推しちゃうから言ってもらえると助かるかも〜?」
意味ありげな会話にミス・ウィンウィンはいつにも増して凛とした表情で二人を見つめる。しばらく互いの顔を見て会話をしていたアンとニュイは、チラッとほぼ同じタイミングでミス・ウィンウィンを見る。
「分かるの?」
凛とした表情にどこか圧を感じる語気。双子はその表情に気を取られまいと目を瞑り、各々苦悩した表情を浮かべる。
「ねぇ、あれってどう言う意図で聞いてるの?分かるんだよね?」
「ハズれてた時のリスクがヤバいんだよなぁ。」
「拷問されても、口開けないかも〜…。」
「ハズれてても別にいいから!」
ミス・ウィンウィンのあまりにも必死な声色に二人は恐る恐る目を開ける。懇願するようにこちらを見ていた。少し後退すると、ミス・ウィンウィンが二人の腕を掴む。その気概に二人は負け、小声でボソリと呟く。
「ウィン…それ絶対…。」
「ほぼ百パーセント…。」
「「恋してる…。」」
恋してる、そのフレーズを言い切った直後、予鈴が鳴り響いた─。
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