第6章 わるい夢

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いい歳をした男たちのうわずった、浮き浮きした声。なんかぞわぞわするし、…そこはかとなく。嫌な感じ。 「うん、そういう意味では。なかなかこの子、いいですねぇ…」 「早速脱がせて。…身体見てみようか。全部」 わらわらと、ベッドに人が近づいて来る気配。…ええ、何なに? わたしはパニックになりそうになった。てっきり、漫画とかで見る修学旅行の夜みたいに。 ちゃんと研修生が自分の部屋で大人しく就寝してるかどうか、ママが常連客の偉い人を連れてチェックして回ってるんだとばっかり思ったのに。 思いの外人数もぞろぞろと多そうだし。大人の男の人がたくさんで、しかも可愛いとか脱がすとか。…ちょっと、意味わからない。怖いよ。何なの? 叫んだり暴れたりしたいのにどうしても身体が動かない。腕も上げられないなんて、と思ってたら。誰かの手がわたしの手首を掴んで、頭の上に持ち上げた。 他人に動かされれば普通に動くらしい。ただ、自分の意思では動かせないんだ。それはわかったけど、このままじゃ。 パジャマの袖から腕が抜かれ、襟元のボタンが容赦なく外されていく。…抵抗できないままに。これじゃ、知らない男の人たちの前で。全部脱がされちゃうよ…。 何人かの手が急くようにわたしを剥いていく横で、ママが少し苛立ったように強い声を出すのが聞こえた。 「身体を見るだけよ。余計なことしちゃ駄目、この子は。…将来の進路はもう決まってるからね。サルーンに来ることはない子だから、綺麗なままにしてあげて」 「またまたぁ。…それを決めるのは僕らでしょ。だって、女の子たちを愉しんでせっせと中に仕込むのは。…俺たちの仕事って。決まってるんだから、…よ。と」 急に声が下卑て、同時に一人称も変化した。わたしの身体が露わになるのに釣られて本性が出た、みたいな感じ。 「可愛くてセクシーでえっちな身体じゃないと。頑張っても勃つものも勃たないよ。丈夫な子種を提供させるために、俺たちを歓ばせるのが君たちの仕事だろ?…おお、思ったよりあるね。張りがあって。…感度はどうかな?」 「あっ、駄目よ。…お触りは」 …それまでどうしても動かなかった身体が。反応してびくん、と僅かに跳ねた。 剥き出しにされた胸の先が。誰かの指でくりくり、と捏ねられて…。そんなところ、そんなやり方で。自分でも触ったこと、ない。のに…。 「…お、反応したぞ。感じてる…」 「もっと弄ってみるか。こっちとそっち、いっぺんに」 「じゃあ、こっちは吸ってみよ。…どう?濡れてる、この子?」 あっ、あ。…ぁ。 声が出ない。けど、こんなの。…初めて。 自分じゃ見られないけど、片方の胸が揉みしだかれて。もう片方の胸の先が生温かくじっとりと、誰かの口に含まれてる、ような。 吸ったり舌の先で舐られたりしてると。…お腹の奥が変な感じになって。今まであまり存在を意識してなかった脚の間の深いところ、が。…熱くなって、火照って。どうしようもなく、切ない…。 「エッチだな、この子。おっぱいしゃぶられて眠りながら、腰振ってる」 「我慢できないんだろ。…おい、見ようぜあそこ。ぐっしょり濡らしてるんじゃないの、処女のくせに…」 あ、ぁ。…だめ…。 いつの間にか服は全部剥ぎ取られていたらしい。両腕を頭の上に持ち上げられ、脚を誰かの手で両脇にそれぞれ掲げられた。人形みたいにされるがままで。…脚の間の、誰にもこれまで見せなかった箇所が。露わに…。 「…うぉ,すっごい濡れてる。まだ胸だけなのに。感じやすいんだ、この子…」 「切なそうで気の毒だな。…ちょっと、慰めてやろう。ここをこうして…」 …ひ、ぁ! 背中がびんと突っ張った。指で弄られて初めて、そこが温かくぐっしょり濡れているのがわかる。たくさんの指がそこを弄り、摘んで。中に入って、入り口を…。 「…っ、…っんっ」 はっきりした声は出せないけど、たまらない。こんなんじゃ耐えられない。どうしたらやめてくれるの? 最初に耳にしたおじさんの声が涎を垂らしそうな嬉しげな様子で、わたしの身体に顔を寄せてるらしくごく間近で呟いた。 「感じてるなぁ。処女で眠っててこれは、すごいよ。ママ、この子適性あるって。やっぱり身体がエッチに向いてるかどうかでしょ。嫌々腰振られても、こっちは結構わかるもんだし。あれで興醒めなんだからさ…。初めてなのに本気で感じてるなんて。素質あるよ、実際」 挿れちゃったら駄目かな、やっぱり。と呟いてじりじりと寄って来る気配に心底恐怖した。ママ、そこにいるんでしょ。…止めてよ、全力で。何としても! 彼女はやんわりと、だけど本気で腹を立ててる。ってことが伝わってくる厳しい声でその人にぴしりと注意した。 「ちょっと、もうそこら辺で。終わりにしてよ。…この子はそういうんじゃないの。眠ってるからって何でもしていいってわけじゃないのよ。堅気の子には余計なことしないで。…ほら、あなたたちも。やりたければちゃんと本職がじっくりお相手してあげるんだから。子どもには手を出さないでってば」 「いやぁ…。ちょっと、調子に乗っちゃったかな。でも、触っただけだから」 やや若いと思しき声が若干決まり悪そうに弁解した。
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