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「お久しぶりです」
「えぇ」
夏目と呼ばれた彼が、芽依菜と少し離れた場所に腰を下ろす。その際に、彼の横顔を見た。……やはり、とても整った顔立ちの持ち主だと思う。
(だけど、なんだかやっぱり知っているような気が……)
そう思っても、じろじろと見るわけにはいかないだろう。
そんな風に思うからこそ、芽依菜はそっと視線を逸らす。……逸らしきれずに、また見てしまう。
「白岩さん」
「あっ……はい」
不意に小宮山に声をかけられた。ハッとして返事をすれば、彼は口元を緩めている。
「あちら、夏目 康介さんです」
「……な、つめ? こ、うすけ?」
「はい」
芽依菜が彼の名前を繰り返すように口にする。……その瞬間、芽依菜は思い出す。
そりゃあ――彼の顔をおぼろげにでも知っているはずだ。だって。
(うちの会社の御曹司!?)
夏目 康介。それは、芽依菜の働く夏目ホールディングスの跡取り……つまり、御曹司の名前なのだから。
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