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「へぇ、じゃあ、その誘い、乗りましょうか」
彼がはっきりとそんな言葉を口にした。その言葉を聞いた芽依菜は、ふっと口元を緩める。
「この後、何処に行きます?」
「適当なラブホにでも、連れて行ってくださいよ」
それとも、彼ほどの御曹司になると、適当なラブホでは済ませないのか。
心の中に浮かぶその疑問を口にすることはなかった。康介の顔が近づいて来て――芽依菜の唇の端に、かすめるようなキスを落とす。
「わかりました。……じゃあ、もう少し飲んだら移動しましょうか」
「はい」
どちらともなく、笑い合う。
(人肌恋しいだけ。これは一夜の関係。本当に、それだけなのよ)
芽依菜が康介に惹かれることはないように、康介も芽依菜に惹かれることはないだろうから。
ただ、それだけ。二人の間には、ワンナイト以外の感情は、芽生えない。
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