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そのままベッドに運ばれ、優しく寝かせられる。
ごくりと息を呑めば、康介もベッドに乗り上げてきた。
「……芽依菜さん」
彼が芽依菜のことを呼ぶ。その声だけで、身体が火照るような感覚だった。
それはお酒の所為なのか。はたまた――彼の色香に、本当にやられてしまったのか。
「……ぁ」
康介の手が、芽依菜の身体に触れる。その後、するりと芽依菜の身体を撫で上げ、頬に添えられた。
「んっ」
優しい口づけが、降ってくる。
驚いて一瞬だけ目を開けるが、すぐに瞑った。口づけとは、キスとは。目を瞑って行うものだという知識があったためだ。
(なんていうか、こそばゆい……)
何度も何度も触れるだけの口づけを落とされる。
その感触に、頭が落ち着いていく。なのに、心臓は驚くほどに早く音を鳴らしていた。
「んんっ」
彼の手が、芽依菜の脇腹を撫でる。それだけなのに、身体が反応してしまう。身体が熱くて、火照っているのが否応なしにわかった。
「……口、開けて」
そう囁かれて、芽依菜はゆっくりと唇を開く。そうすれば、口腔内にぬるりとした温かい何かが差し込まれた。
(……な、に?)
一瞬だけそう思ったが、それが康介の舌だと理解するのに時間はかからなかった。
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