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……あぁ、またあれか。
芽依菜は咄嗟に、そう思った。
「それでね! 誠人君なんだけれどぉ~」
「それ、今日何回目だっけ?」
「えっ、覚えてないけど?」
さも当然のようにそう言う郁に、芽依菜は呆れてしまいそうだった。
誠人というのは、郁の彼氏……というか、未来の夫である。現在は婚約中であり、ちょうど一年後に結婚式を挙げる予定となっていた。
「今日芽依菜とここに行くって言ったら、すっごく羨ましがってた!」
「……じゃあ、彼氏さんと来ればよかったじゃない」
店内には郁の言う通りカップルが多くいる。別に、芽依菜を誘う意味などなかっただろう。
「だって、芽依菜甘いもの好きじゃない。……だから、芽依菜と来たかったの!」
「……あっそう」
そう言われたら、もうなんと言えばいいかがわからない。
その一心で、芽依菜は俯く。……そのとき、芽依菜のスマホが震えた。
だからこそ、芽依菜はスマホを見つめる。そして、ディスプレイに映った名前に眉をひそめた。
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