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「災難だな、保守もトラブルだったんだろ」
「知ってるんだ」
「四宮さんから聞いた。あそこ常駐ジョブ多いから1つコケると影響でかいよな」
今私が担当している某飲料メーカーのシステムは、姫が去年携わっていたプロジェクトだ。
システムが稼働したあと、私たち第三課のメンバーが引き継ぎを受けて、保守業務を担当している。だから姫はシステムの内情にも詳しい。
「うん、製造指示と発注全般が止まっちゃって。リカバリーが大変だった」
「得意先からの受注は?」
「そっちは別階層で組んでたから影響なくて、不幸中の幸い」
「へえ、当時の設計者に感謝だな」
素知らぬ顔で嘯く姫に、私は思わず笑ってしまいそうなる。
ジョブ設計はインフラチームが主体でおこなっていたから『当時の設計者=姫自身』のことだ。
「それって自分のことじゃない」
私の指摘に、姫は少し柔らかい表情でフッと笑う。
いつも無表情な姫に見慣れているせいか、不意打ちの笑顔に少しドキリとした。
(今みたいな表情をもっと見せればいいのに。もったいない)
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