5. 知らない一面

4/5

7463人が本棚に入れています
本棚に追加
/131ページ
充実したカフェ時間を過ごせた私は、上機嫌でお店を出た。 「これからどうしようかな、、」 時間はまだ13時半。駅前はきっと混んでいるだろうからそちらとは反対側を行ってみよう。私は特に行く場所は決めずに、散歩がてら歩くことにした。 しばらく歩くと、おしゃれな外観のセレクトショップがあった。 中に入ると、カジュアルだけれど少し女の子っぽさのあるデザインが、自分の好みにドンピシャだった。 (このブラウス可愛い。あ、こっちもいいなぁ) 私があれこれ悩んでいると、声を掛けてくれた店員さんがパーソナルカラー診断の資格を持っていて、顔周りにドレープを置きながらいろいろとアドバイスをしてくれた。それによると、私はブルベ夏に分類されるらしい。  「今日お召しになっているお洋服のお色は、お客様にピッタリなんですよ!」とお気に入りのワンピースを褒められて、ちょっと嬉しくなる。 コーディネートの相談にも乗ってもらい、私はオフホワイトのブラウスと、花柄デザインが施された淡いパープルのプリーツスカートを購入した。このデザインなら会社にも着ていけそうだ。 他にも可愛らしい雑貨のお店を覗いたり、最近オープンしたばかりの文具店で使いやすそうな手帳を買ったりと、目いっぱい買い物を楽しんだ。 時間を忘れて買い物を楽しんでいると、気がつけば夕方になっていた。 そろそろ駅の方へ戻ろうか。そう思って辺りを見回したとき、ふと、大きなガラス張りの建物が見えた。 (すごいおしゃれな建物、、ここにこんなお店あったんだ) 遠目から見る限り、ショーウィンドーに飾られた洋服はエレガントなものが多く、素敵だと思うものの私には敷居が高いように感じる。 (いつか、ああいう大人っぽい服が似合うようになれたらいいんだけど) そんなことを思いながらショーウィンドーを眺めていると、お店のドアが開き1人の女性が出てきた。 出てきた瞬間にパッと目を引く、華やかな女性だ。 ベージュ系のハイトーンカラーのロングヘアに、黒のシンプルなワンピース。右手に持っているのは誰もが知る有名ハイブランドのバッグだろう。けれどまったく派手すぎなくて、むしろ女性自身を引き立てているように見える。 (すごく綺麗な人、、もしかして芸能人とかモデルさんとかかな?) もしそうだったらラッキーかも、なんてことを考えていると、続けてドアから出てきた一人の男性が目に入った。 あれって、、、姫―――?
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7463人が本棚に入れています
本棚に追加