6. 試してみる?

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6. 試してみる?

ゴールデンウィークが明けた7日の月曜日。 大型連休という非日常が終わりを告げ、通常の社会活動が始まる日だ。 押し込まれた人々の体温と湿気が滞留した満員電車、乗り合わせた人々の険しい表情。そんな不快指数高めの光景にも、いっそ懐かしさすら覚える。 この日、私はいつもより少し早めに家を出ていた。 というのも、取引先の本社部門が長期休暇の間も工場や倉庫は稼働していることがほとんどで、現場で発生したトラブルや溜まった問い合わせなどが休み明けにこちらへ一気にやってくる。 まずはどれくらいのボリュームがあるか、早めに行って確認しておきたかったのだ。 オフィスに出社すると、すでにちらほら出社している社員がいる。私はおはようございます、と挨拶をしてから自席に座ると、PCを開きメールをチェックした。 ああ、やっぱり。 すでに何件か問い合わせのメールが入っており、中には重要度が高いことを示す『!』のマークが付いたものもある。 これは始業時刻と同時に電話がくるパターンだな。 私は少し気が滅入りながらも、仕事モードに切り替えた。
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