7. 衝動の行方

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交通量の多い駅前から1本裏路地に入ると、意外と緑が多く人通りは少なかった。知らない街の中にいるとつい、きょろきょろ見回しながら歩いてしまう。 「姫って、目黒に住んでたんだね。新人の頃は違う場所だった気がするけど、引っ越したの?」 「引っ越したのは去年かな。夜間作業で終電逃したり、逆に早朝に出社して作業したりもあるし。オフィスにはなるべく近い方が便利だから」 代わりに家賃は高いけど、とうんざりしたような言い方が、妙に実感がこもっていて笑いそうになってしまった。はっきりとした相場は分からないけれど、この辺りなら高いだろうなというのは想像がつく。 途中で、飲み会でほとんど食べていない私を気遣ってか、コンビニに寄ることになった。けれどやはり遅い時間のためかおにぎりやお弁当のコーナーは軒並み空っぽだった。 「この時間だと何もないか、、、簡単なものでよければ作るけど、それでもいい?」 「え?そんないいよ、わざわざ悪いもん」 「いいよ、俺も腹減ったし。作るっていっても大したものないしインスタントになるけど構わない?」 「うん、もちろん」 姫はドリンク売り場に移動すると、お茶とトマトジュースをカゴに入れた。私は果物系のサワーを一つ手に取る。 「まだ飲むのか?」 「うん。今日はビールばっかりだったから、甘いのが飲みたくて」 「いいけど1本にしとけよ。じゃあカゴ入れて、あと右手に持ってるそれも」 そう言って右手に持っていたチョコレートムースのスイーツを指さす。バレていた。そのまま姫はカゴを持って行き、レジでお会計を済ませてしまった。 コンビニを出てからお金を払う、要らないの押し問答をしているうちに、姫の住むマンションの前に着いていた。 見上げると10階以上あるだろうか。自分の住むマンションは低層なので、ついすごいなあと見上げてしまう。 オートロックを抜けて右に曲がる。エレベーターは1階に止まっていたので、乗り込んでから姫が階数ボタンを押す。 「姫の部屋、8階なんだ。眺めよさそうだね」 「ああ、夏は花火見える」 「そうなんだ、いいね」 エレベーターが到着したことを知らせる音が鳴って扉が開く。 降りて左の一番角部屋、805号室が姫の住む部屋だった。 「どうぞ。たぶん掃除したばっかだから片付いてるはず」 「……お邪魔します」
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