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玄関で履いていたパンプスを脱いで端に寄せてから、部屋へと上がる。
少しの廊下を歩いて突き当たりが姫の部屋だった。
間取りは私の部屋と同じ1Kだ。
手前にはテレビボードと、ライトグレーのラグが敷かれた上にコーヒーテーブルと二人掛けのソファー、その奥にベッドと小さめのパソコンデスクがある。
「そこのソファーにでも適当に座って」
姫はコンビニで買ってきたものをキッチン横の冷蔵庫に入れている。
「うん、ありがとう」
パソコンデスクの横にある本棚には、難しそうな専門書や資格本の間にマンガも混ざっていて、ところどころに見え隠れする生活感が不思議と落ち着く。何というか、もっと物が少ない隙のない部屋を想像していた。
姫はスーツのジャケットを脱いで、ソファーの背もたれに投げるようにして掛けた。
その次に、首元のネクタイを緩めてスルリと抜き取る仕草にドキリとしてしまい、私は挙動不審にならないよう気を付けながら、さりげなく目を逸らす。
外されたネクタイもまた、ジャケットの上にポンっと投げられた。
(あのままにしてたらシワになりそう…)
ジャケットの持ち主は特に気にする様子もなく、ワイシャツの袖を少し捲って水道で手を洗っている。
余計なお世話かなと思いつつ、私は壁付けのレールに掛かったハンガーを取って、ジャケットとネクタイを掛けておいた。
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