7. 衝動の行方

5/7
前へ
/131ページ
次へ
座っていていい、と言われてもやることがないと手持無沙汰で、私もキッチンへと移動する。邪魔にならないように後ろからそっと覗くと、ちょうど鍋に火をかけているところだった。 「私、何か手伝えることある?」 「ん?あぁ、座ってていいのに」 「でも何もしてないと落ち着かないし…」 「じゃあそこの棚からどんぶり出してもらえる?」 「うん」 私も水道で手を洗ってから、棚の一番下の段にある白いどんぶりを取り出す。キッチンの作業台には、インスタントの袋麺が2つとトマトジュースが置いてあった。 「トマトジュースここで使うの?」 コンビニでカゴに入れていた時、てっきり飲むために買ったのだと思っていたからびっくりする。 「そう、前にそのまま食べるのに飽きて調べたら、いろんなアレンジレシピがあってさ。この塩ラーメンとトマトジュースの組み合わせが結構いける。あ、トマト平気?」 「うん、トマト味好き」 インスタントはたまに食べるけどカップ麺ばかりだったから、アレンジをすることは考えたことがなかった。 「鍋使うから少し手間だけどな。でも夏の暑い時は冷やしでもいける」 「冷やしかぁ、それも美味しそう。あ、スープをつけ麺みたいにしてもいいかも」 「それやったことないな、今度やってみるか」 鍋のお湯が沸騰したところにトマトジュースを入れる。鍋の中が一気に鮮やかになったところで、袋麺を二人分入れて箸でほぐす。 手順の時間通りに茹でたら粉スープを通常の半分だけ入れて一煮立ちさせ、粉チーズを振ればあっという間に完成だ。
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7554人が本棚に入れています
本棚に追加