知ったかぶりのあの出来事

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平和学習。 それは私の胸に深く突き刺さる学習だ。 昔のことを知ることが悲しくてなおかつ残酷で。 当たり前のように亡くなっていく人たちを見ながら、心の何処かで「あぁ、ここにいなくてよかった」だなんて思って。 こうして勉強をできることが幸せだ、なんて心の表面だけでなぞらえて。 本当は、面倒くさいと思っていた。 どうしてこんなに残酷なことを知っていなきゃいけないのだろうと思った。 「戦争」はダメなもの。そんな綺麗事なんて聞きたくない。 ダメなものならなんで起きちゃうの。 戦争、そんな概念がなければずっと平和でいられたかもしれないのにだなんて考えて。 同じ内容をどうして毎回学習しなきゃならないのだろうだなんて思って。 そんなのわかりきっていた。 何回も聞かされた。 「もう二度とこんな悲しい出来事を起こさないために」 知っている。 だけど、その悲しみや残酷さややるせない気持ちがどんなに強いかだなんて知らない。 こんな悲しい出来事、そんな一言ですませていいのだろうか。 その悲しみがどんなものかもわかっていないのに。 「テストで0点を取った。」「青空の下でもう二度と手をふることができない。」 この2つの悲しみが同じだとは思えない。 「弟にドーナツを食べられた」「家族を殺された」 この2つの怒りが同じだとは思えない。 でも、少し思う。 そんな心からの深い悲しみや怒りを体験するような出来事なんてなくていい。 その悲しみなんて知りたくない。 その怒りなんて知りたくない。 私達がその悲しみや怒りを体験しないようにするために平和学習をするんだ。 想像ができないほどの感情を体験しないために。 これは綺麗事でもいい。 だから、お願い。 戦争なんて二度と起きちゃダメなんだ。
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