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三唱
バトルライブは大盛況に終わった。全身全霊を注ぎ切った尾崎と大門は楽屋で愉悦に浸る。
「言った通りだったろ?」
大門が満足げににやつく。無論、尾崎も笑みを溢した。
「最高だった!」
二人の顔つきは、漫才を楽しんだ充実感と将来への希望に満ち溢れていた。
「俺はもう諦めたりしねぇ。だから……」
向かい合って手を差し出す大門。
「これからよろしく」
彼は解散騒動で迷惑を掛けたことをとても申し訳なく思い、もう一度やり直す心積もりで伝えた。対する尾崎は紆余曲折あった15年を無駄にはしたくなかった。相方と切磋琢磨する日々は、過去から現在、そして未来へと繋がっていく。
「よろしく。ただ、これからも、な」
魂を共にする二人は固い握手を交わした。無念な最期を遂げたカラスは1年の時を経て生まれ変わり、前世より一段と力強い産声を上げるのだった。
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