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指折り待って五日が過ぎ、ようやく老女から、主がトミのもとへ訪ねてくると告げられた。
それならおしろいや紅を用意して欲しいと言うと、それは必要ないと言う。
その代わり、風呂で丹念に体を洗うようにと言いつけられた。
その意味を悟り、トミは含み笑いで風呂場へ向かった。
全く、色男だろうとなんだろうと、男はみんな一緒なんだから。
鼻歌を歌いながら体の隅々まで綺麗に洗い、用意されていた絹の湯上り着に手を通す。
部屋に戻ると、既に主が腰かけてトミを待ち構えていた。
「あぁ、旦那様。やっと来てくれた。もう待ちくたびれてしわくちゃになるところだったわ」
トミが主の膝に触れるようにして座り込むと、主はゆったりと笑って前のめりになり、トミの首筋の匂いを嗅いだ。
トミがくすぐったさに嬌声をあげると、
「まあ、ここまでが限界だろう」
と、主がぽつりと言った。
何のことかと主の顔を見上げる――そのトミの頭を主の左手ががしりと掴んだ。思いのほか強い力で、まるで万力のように指が食い込む。
痛みに顔を歪めたトミの顔に、主の右手が近づく。反射的に閉じたトミの瞼をこじ開け、主の指がトミの眼球に触れると、そのまま目玉をくり抜いた。
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