天然の鈴虫の音色が楽しめる家

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 火力発電所は電気の需要が高まれば、電気を供給する為、化石燃料を大量に燃やして二酸化炭素を大量に排出する。おまけにエアコンの冷媒は二酸化炭素の数百倍から1万倍もの温室効果を齎すフロンガスを排出するからエアコンの使用量が全国的に増えれば、どうなるか…そんなことはお構いなしに暑いからエアコンをつける。つけると当然、地球温暖化を促進する。が、つけないと暑い。痛し痒しだが、早くも6月からエアコンをつける家庭が多いし、カーエアコンに至っては4月5月くらいにはつけてしまう。  僕の子供の頃はエアコンがない家庭が過半数を占めていたし、カーエアコンがない車も過半数を占めていたと思うが、今や地球温暖化によりエアコンは必需品でどの家庭にもどの車にもエアコンがあると言っても良い位でヒートアイランド現象が起きる都市部では絶対エアコンは欠かせない。で、つけるのを我慢すれば熱中症になってしまう危険性が高まるが、電気代がまた値上がりして我慢しなければならない場合もあるだろうから一般庶民にとって過酷な夏になりそうだ。  そんな中で僕の家は真夏もエアコンなしで通せる位、涼しい。エアコンはあるし高い電気代を払う余裕もあるので痩せ我慢で言ってるのではなく、エアコンに頼らない気構えでいるのだ。実際もう直ぐ7月だというのにまだ扇風機を用意すらしていない。少し位なら汗掻くのも良いし、天然の風だけで十分なのだ。まず東側の土地が開けているのが大きい。それと鰻の寝床みたいに細長いガレージがビルトインした、風通しの良い広々とした木造の家なので熱が籠もりにくく逃げ易いのも大きいのではないだろうか。お陰で只で健康的に風が楽しめる。誠にラッキーなことではないか。  それはそうと東側の開けた土地の草陰でスズムシやコオロギが8月の終わりから9月下旬位にかけて夜中に涼しげで奥床しく心地よい音色を奏でてくれるのを今から楽しみにしている。僕は彼ら同様夜行性みたいに一般の人々が寝静まる前頃に起床して夜中に活動するので聴いていようと思えば、夜明けまで聴いていられるのだ。都会人には天然のスズムシなんて考えられないことだろうが、僕はこの晩夏初秋もよろしく頼むよと東側の窓からコオロギ科の幼虫や蛹たちに呼びかけている奇異な存在だ。
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