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なんて寂しく、なんて弱い記憶なのだろうか。
今までの人間とは何かが違うと、すぐに感じとった。
「イヴェリス様、そろそろ人間の目が覚めます」
「ああ、そうか」
「記憶の方は、どうなさいますか?」
「そのままでいい。少し、この人間のことが知りたい」
「ですが」
「この人間が生きていたことを覚えていられるのは、私しかいない」
私が命を奪えば、その瞬間からこの人間が生きてきた時間がすべての人間の記憶から消えてなくなる。
一人であればなおさら、誰にも気づかれることなく、始めから存在しない者とされる。
だから決めたのだ。
せめて私は、私だけは、この人間が生きてきた時間を覚えておきたいと。
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