12人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
人間とは、愚かな生き物だ。
たった100年も生きられない身体で、身を削り働き、幸せというものを探し、朽ちていく。
魔界の者たちはそんな人間を当たり前のように喰らう。
人間が牛や豚と言った生物を食すように、魔界にとっては人間が食なのだ。
獣族は肉を、魔族は骨と血を。
余すところなく。
我らヴァンアピール一族は人間の血が無くては生きてはいけない。
人間の血さえあれば不老不死でいられるのだ。
しかし、魔界では人間の狩りに制限がある。
やつらは命が短い上に繁殖力も乏しい。
制限をかけずに人間を食せば、すぐに絶滅してしまう。
人間がいなくなれば、我々も長くは生きられない。
だから、必要最小限の人間のみ食すことになっている。
人間のほとんどが、我々の存在を知らずに一生を終え、魔界の者たちに捕食されていることも知らずに生きている。例え生贄になったとしても、周りにいる人間はその者の記憶を奪われ、存在すらなかったことにされている。親や友が目の前で殺され、消えても、なんの疑いもなく最初から存在しない者となる。
本当に愚かな生き物だ。
最初のコメントを投稿しよう!