血を奪いし者の宿命

8/12

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「あの~……大丈夫ですか?」 「……ッ!」 突然の声に顔をあげると、目の前には心配そうな顔で立っている女人。 私としたことが、人間が近づいてきていることにまったく気づかなかった。 「近寄るなッ!!」 そう言い放っても、目の前の女は屈することなく私に近づいてくる。 結界を強めようと残り少ない魔力を振り絞るも、その女は顔色ひとつ変えずに私に近づいて来た。 人間のような身なりで隠していた私の姿が、徐々に元へと戻ってゆく……。 目の前がクラクラした。 それ以上近づかれては、飢えている私はこの女の血を欲してしまいそうだった。 ――私に構うな、近づくな、触れるな 何を言っても聞かない女が、何かをしようとしている。 他の人間を呼ぶつもりだ。 女の手から人間を呼びよせるための何かを奪い取ると、女はひるんだ。 「イヴェリス様!!」 その瞬間。すごい勢いで、使者の魔獣が戻ってくる。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加